京都大学大学院人間・環境学研究科との共同研究

 

 地域が子どもを育む 博多祇園山笠と子どもたちhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jgd/30/0/30_362/_article/-char/ja/

 高度経済成長(1960-1970 年代初め)まで、都市部でも、地域コミュニティは、住民が喜怒哀楽を分かち合える場だった。それは、一方では窮屈なしがらみに耐えざるをえない場でもあったが、他方では、住民が、家族を超えて「溶け合える」場でもあった。
 子どもは、地域コミュニティの人々が溶け合う接着剤だ。無邪気な子どもに難しい理屈は通用しない。子どもと大人を結び付けるのは、身体の溶け合いだ。近所のおじちゃん・おばちゃんは、子どもを接着剤として、子どもの親とも溶け合えた。
 福岡市にある博多部は、そのようなかつての地域コミュニティを保持する数少ない地域の一つである。とくに、同地に継承されている祭り「博多祇園山笠」は、博多部コミュニティの絆を維持する上で大きな役割を果たしている。その姿は、現代の日本社会において、身体が溶け合える地域コミュニティを再生させるときに必要な「忘れられたイメージ」を提供してくれる。
 本研究では、博多祇園山笠が博多部の子どもたちにいかなるインパクトを与えているかを調査した。調査結果は、山笠に参加している子ども、さらには、家族も山笠に参加している子どもほど、地域コミュニティの絆に編み込まれていることを如実に示していた。具体的には、山笠に関わりの深い子どもの方が、地域住民と挨拶を交わしていること、学年を超えて近所の子どもたちと遊ぶ頻度が高いこと、博多部という土地に対する愛着が強いことなどが明らかになった。                                                          
                         ( 論文詳細 → )

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgd/30/0/30_362/_pdf

博多祇園山笠の集団力学